『それって労働者ですよ、ボランティアじゃありません。賃金払わないといけません。』

ある日、突然そんなことを言われたら・・・。

社会保険労務士の崎谷勉先生に来ていただき
「それ、労働者ですよ」と言われないためのボランティアマネジメントをテーマにハンズオンカフェを開きました。

崎谷先生のレクチャーからスタートした今回のカフェ。
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まずは労働者の定義を確認。

労働基準法第9条
労働者とは職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用されている者で、賃金を支払われる者をいう。

同法第11条
賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に払うすべてのものをいう。

労働者かどうか判断されるポイントは使用従属性。次の5つのポイント
1.仕事の依頼に対して拒否する自由がない。
2.仕事内容ややり方について具体的な指揮命令を受けている
3.命令や依頼により予定されている仕事以外の仕事をすることがある
4.仕事をする場所や時間が指定され管理されている
5.本人に代わって他の人が働くことが認められていない、また、本人の判断でサポートを受ける人を認められない

これらを総合的に判断して労働者か否か?を労働基準監督署は判断します。

例えば、毎週〇曜日の10時~16時まで、この作業とこの作業とこの作業をやってねというと
拘束されている、命令されていると捉えられ労働者とみなされる可能性が高くなります。

ボランティアの方が自主的に「やります」と言えばいいのですが、「やらされている」と感じたらアウト。

また、Aという作業が終わったら、Bをやって、それが終わったらCをやってというのは指示命令に当たるのでこれもアウト。
事前に全体のスケジュールを示して、分からないことは聞いてくださいというのがベターです。

2つ目のポイントは労働保険加入要件である週20時間以上その活動をしているかどうか。
二か月以上、週20時間を超えて活動したらアウト。
普通のNPOは、活動時間を記録していないと思いますが、それを労基署に話たら「記録するように」という指導が入ります。
その指導にはたとえNPO法人でもボランティア団体でも従って改善案を提出しなければなりません。ちなみに時間で謝礼を積算するのも危ない。
知らなかったよ、そんなこと。

3つ目のポイントは謝金の解釈。
労基法11条では「名称を問わず支払われるもの」とされており、交通費だろうが謝金だろうがコレを糸口に次々と労働者なんじゃないのか?というツッコミが入るそうです。

話はちょっと逸れますが、謝金になると税法上、報酬になり税金のことも発生します。

事例として流山裁判を挙げられました。
福祉サービスを行うNPO法人の活動が収益事業と判定され、その収入に対して課税されるという判決。
会員Aさんが会員Bさんのために活動して800円貰いました。
そのうち200円は所属するNPO法人に寄附し、600円は会員Aさんが貰うという仕組み。
これがNPO法人にとっての収益事業に当たるということです。

では会員Aさんは労働者なのか?というとそうではなく、NPO法人から頼まれて会員Bさんのお世話をする請負業に当たるので収益事業であるという判断です。

ややこしいですが、税の面から起こった話がボランティアは労働者なのかということにまで拡大したのです。


何より、労働基準監督署は、労働者であるかないかだけで判断し、NPOの活動が社会にとって有益かどうかはみません。

厚生労働省の厚生サイドはボランティアを推進し、労働サイドは労働者として認定しようとする。

国税庁はできるだけ収益事業として認定して税金を課そうとする。

そんなのが日本のボランティアを取り巻く現状です。

現状では、日本ではボランティアを保護する法律がありません。

アメリカには国内ボランティア(振興)法(Domestic VolunteerService Act)があります。
ボランティア活動をして謝礼などとして受け取ったお金が〇〇ドル以下は、賃金ではないなど決められています。

崎谷先生は「日本も、労基法第9条に、ただし、ボランティアについては別途定めると書いておけばこのようなグレーゾーンの問題はなくなる」とお話されました。
有識者によりボランティアを規定するボランティア認知法を提言されたこともあります。

今の日本ではボランティアに関する法律がなく、それぞれの役所の裁量で判断されているのが実情です。

例えば、「東京オリンピックのボランティアなんて10日以上、これとあれとあれをやってしかもお金払って研修うけろなんて強制労働者じゃないか」と言っても国策だから労働局も国税庁も何も言わない。

でも流山裁判のように民間がちょっとでも税法や労基法に掠るかどうかという微妙なところについて激しく口をだしてくるというのが現状です。

多くの人が、誰かの役に立ちたい、何かの役に立ちたいと願って活動するボランティア。

その善意を行政の都合の良いように解釈していることが一番の課題だなと思いました。

思わず、労働者とボランティアの話から拡大しましたが、ボランティア活動に頼る、活動の場を提供するNPOとしては、参加するボランティアさんを含めて活動全体のマネジメントをする必要があるなと思いました。

また、長崎市でボランティア団体を運営するY・Oさんから事前に「ボランティアに対する交通費の支払いをみなさんどうしていますか?」という相談がありました。

参加した団体の多くが「交通費は払っている」とのこと。
「理由は謝礼を払うほどではないけれど何かのお礼をしたいから。」
「団体として交通費は払うと規定しているので払ってきた。」
「交通費をいらないというボランティアさんもいたし、交通費もでないんですかというボランティアさんもいた」
などなど。
崎谷先生によると、全体的に交通費の支払いは当たり前になってきているとのことです。

ただ、団体の財力によって払いたくても払えない場合だってあるのも当たり前。
結局は、NPOとボランティアしたい方が話し合って決めればいいのではないかという事でした。

Y・Oさん、ご相談ありがとうございました。

最後に他県の事例ですが、委託者と受託者の間で、委託者が契約以外のこともやってくれと言ってきたと起動しているか?ということです。

行政から指定管理者制度で運営しているとありがちだそうです。
その場合、委託者からの要求がエスカレートするので、どこかのポイントで「契約外のことはできない」というか「それならば変更契約書を交わして予算をください。話し合いましょう」というのがいいそうです。

ボランティアと労働者の境界について学ぼうと思ったカフェでしたが、ボランティアをマネジメントする上でNPOが気を付けるべきいろんなことを学ぶことができました。
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ながさきのNPO・ボランティアをサポートするハンズオンながさきでした。