長崎のNPOやボランティアをサポートするハンズオンながさきの事務局やってます。
昨日の1月30日、不登校引きこもり情報誌「今日も私は生きてます。」編集部主催の講演会&シンポジウムに行って来ました。
昨年、ハンズオンながさきに助成金の相談があって九州ろうきんのNPO助成金を活用した講演会だったので気になって。
講演者は旭爪(ひのつめ)あかねさん。
引きこもり経験者でご自身の体験を小説として発表された方です。
子ども頃からの親との関わり、引きこもりに至るまでの心の動き、引きこもり生活の苦しさ、今の気持ちなど赤裸々に話してくださいました。
親の期待に沿うように、特に家庭や仕事で大変な思いをしている母の笑顔が見たいとあかねさんがやりたいことで無く母が喜ぶことをやってきて、研究者になろうとだいがくまで進学したけど研究についていけない。それが出来ないとわかった時のショック。
あかねさんのお父さんが仕事や組合活動で帰りが遅くて、あかねさんの母が大変な思いをしたと聞いて、男性が職場に長時間拘束される風潮が招いたのではないかと思いました。
それを是とする空気があかねさんの引きこもりを引き起こしたのかもしれない。
研究者をやめて会社で働こうと就職したけど、簡単なことも人に頼めず、分からないことは聞けずとても居心地が悪く冷や汗がでる思いを続け、鳩尾のあたりが痛くてやがて欠勤が続いて退職したこと。
行き場のない状況で布団の中で読み漁った小説の世界に救われたこと。また、小説を書こうと小説講座に行って、あなたはここに居ていいんだよ、悪く無いんだよと無条件で肯定してくれた仲間に救われたこと。
自身の体験を小説として日刊紙に発表したら、年配者から、自分たちのように食べることに苦労したこともなくせに生意気言うなと嫌味を言われたこと。
でも、引きこもりの子どもをもつ親たちがたくさん居て共感してくれたことなど沢山の事を話してくださいました。
シローはお話を聞いて居て、これは引きこもりや不登校だけの話じゃないと思いました。
年配者がそう言うのは気持ちとしては分かるんだけど自分が苦労したことを持ち上げて、今すごく苦しんでいるあかねさんに鞭打ちようなことをするのはなぜなのか。
会社の中でも理不尽なことはありすぎるし、競争が激しくて急すぎて、そこから落ちたら二度と這い上がれない、やり直せないような社会の空気。
あかねさんが、不登校や引きこもりを産み出す土壌である社会を変えなくてはいけない。なんだか、産み出す土壌をほったらかしにして対処療法をしている気がする。そこに犠牲になっている人がたくさんいると思う。と言っていたのが心に響きました。
先日、フードバンクのことを調べていて年間642万トンの廃棄食料があるのに、食べられない人達がいる社会。まずは、食料供給の適正化を先にすべきであってフードバンクの活動を応援するのはその後だろうという気持ちと一緒です。
国はとことん、自助努力を促し助けない、役割を果たさないつもりなのか?と疑問に感じました。
帰りに図書館で雨宮処凛さんの「命が踏みにじられる国で、声を上げ続けるということ」を借りて読んでます。
本の中で中下大樹さんの「あなたならどうする孤立死」が紹介されていてインドの親が子どもに言うこんな言葉が紹介されています。
おまえは人に迷惑をかけていきているのだから、人のことも許してあげなさい。
不登校や引きこもりなど苦しんでいる人は声をあげて欲しい。
またそういう助けを求める人がいたら、きちんと向き合いたいと思いました。
会社や学校や地域や家庭の中で許しあうことができれば、そんな社会に変えることができればあかねさんの言うような社会になるのかもしれません。
シンポジウムで当事者の吉田さんが、誰にも話せない環境はすごく辛かった。バイト先でも警戒せずに話せる人がいれば違うと思った。と言ってました。
若者たちが周りを信じられない環境を作ってしまった自分たち。
今の空気に逆らうことは難しいということも知っていますが、自分の周りの空気だけでも変えていきたいと思いました。
不登校、引きこもり情報誌 今日も私は生きてますは一冊500円で販売してます。当事者たちの声を感じてみて下さい。